花さそふ 嵐の庭の 雪ならでふりゆくものは わが身なりけり

読みを聞いてみましょう。上の句のあとに、下の句が続きます。
決まり字
はなさ
決まり字は、その一首だと聞き分けられるようになる、上の句のはじめの何文字かのことです。この歌なら、読み手が「はなさ」と読んだところで、取る札が決まります。
競技かるたでは、同じ音ではじまる札が何枚あるかで分類します。この歌は「四枚札」〈はやよか〉の仲間です。
現代語訳
嵐にさそわれた桜の花が、庭いちめんに、雪のように降りしきっています。けれど、ほんとうに「ふりゆく」のは、あの花の雪ではなくて——老いてゆく、このわたし自身なのでした。降る花に、古りゆく身をそっと重ねる——花吹雪の華やぎのなかで、歳月を見つめる一首です。
歌人の物語
鎌倉のはじめのころ、権勢をきわめ、のちに出家した太政大臣と伝わります。百人一首を編んだ定家とも縁の深い人で、栄華のただなかにあって、散る花に老いを見る——そのまなざしが、静かに残ります。
この歌とは、道のりの「四枚札」のあたりで出会います。
うたふだをはじめる
一首ずつ歌と出会いながら、決まり字を手がかりに札を取る力を、短いお稽古で育てていきます。