春過ぎてはるすぎて 夏来にけらしなつきにけらし 白妙のしろたへの衣ほすてふころもほすてふ 天の香具山あまのかぐやま持統天皇じとうてんのう

「春過ぎて 夏来にけらし 白妙の」の情景画

読みを聞いてみましょう。上の句のあとに、下の句が続きます。

決まり字

はるす

決まり字は、その一首だと聞き分けられるようになる、上の句のはじめの何文字かのことです。この歌なら、読み手が「はるす」と読んだところで、取る札が決まります。

競技かるたでは、同じ音ではじまる札が何枚あるかで分類します。この歌は「四枚札」〈はやよか〉の仲間です。

現代語訳

春が過ぎて、いつのまにか、夏が来ていたようです。夏になると真っ白な衣を干す、と言い伝えられる、あの天の香具山——今日はその山に、白い衣がまぶしくひるがえっています。山の緑と、衣の白。目に映る色だけで季節の訪れを告げる、あかるい初夏の一首です。

歌人の物語

飛鳥の世を治めた女帝です。都から望む香具山にひるがえる白い衣に、夏の訪れを読みとる——その伸びやかなまなざしが、千年をこえて、初夏の光を運んできます。

この歌とは、道のりの「四枚札」のあたりで出会います。

うたふだをはじめる

一首ずつ歌と出会いながら、決まり字を手がかりに札を取る力を、短いお稽古で育てていきます。

同じ「四枚札」の歌