かささぎのかささぎの 渡せる橋にわたせるはしに おく霜のおくしもの白きをみればしろきをみれば 夜ぞふけにけるよぞふけにける中納言家持ちゅうなごんやかもち

「かささぎの 渡せる橋に おく霜の」の情景画

読みを聞いてみましょう。上の句のあとに、下の句が続きます。

決まり字

かさ

決まり字は、その一首だと聞き分けられるようになる、上の句のはじめの何文字かのことです。この歌なら、読み手が「かさ」と読んだところで、取る札が決まります。

競技かるたでは、同じ音ではじまる札が何枚あるかで分類します。この歌は「四枚札」〈はやよか〉の仲間です。

現代語訳

七夕の夜、かささぎが翼をつらねて、天の川に橋を渡すといいます。その橋に見立てられた、宮中の階に降りた霜が、しらじらと光っています。この白さを見ると、夜も、もうすっかり更けたのですね。天上の伝説と足もとの霜がひとつに重なる、冬の夜のしずかなうたです。

歌人の物語

『万葉集』の編みあげに深くかかわったと伝わる、奈良の世の歌人です。夜空の伝説を足もとの霜に映すまなざしに、歌とともに生きた人のこまやかさがにじみます。

この歌とは、道のりの「四枚札」のあたりで出会います。

うたふだをはじめる

一首ずつ歌と出会いながら、決まり字を手がかりに札を取る力を、短いお稽古で育てていきます。

同じ「四枚札」の歌