風をいたみかぜをいたみ 岩うつ波のいはうつなみの おのれのみおのれのみくだけて物をくだけてものを 思ふころかなおもふころかな源重之みなもとのしげゆき

「風をいたみ 岩うつ波の おのれのみ」の情景画

読みを聞いてみましょう。上の句のあとに、下の句が続きます。

決まり字

かぜを

決まり字は、その一首だと聞き分けられるようになる、上の句のはじめの何文字かのことです。この歌なら、読み手が「かぜを」と読んだところで、取る札が決まります。

競技かるたでは、同じ音ではじまる札が何枚あるかで分類します。この歌は「四枚札」〈はやよか〉の仲間です。

現代語訳

風がはげしいので、岩を打つ波が、砕けて散ってゆきます。岩はびくとも動かないのに、砕けるのは、波ばかり。それは、想いを寄せてもけっして動かない、あの人と同じ。わたしだけが、心も砕けるほどの物思いをしている——荒磯の波に片恋を重ねた、はげしい恋のうたです。

歌人の物語

三十六歌仙のひとりに数えられる、平安中期の歌人です。旅を重ね、遠い陸奥の地で生涯を終えたと伝わり、岩に打ちつける波の景にも、諸国の海山を見てきた人の目が生きているようです。

この歌とは、道のりの「四枚札」のあたりで出会います。

うたふだをはじめる

一首ずつ歌と出会いながら、決まり字を手がかりに札を取る力を、短いお稽古で育てていきます。

同じ「四枚札」の歌