みかきもり 衛士のたく火の 夜はもえ昼は消えつつ 物をこそ思へ

読みを聞いてみましょう。上の句のあとに、下の句が続きます。
決まり字
みかき
決まり字は、その一首だと聞き分けられるようになる、上の句のはじめの何文字かのことです。この歌なら、読み手が「みかき」と読んだところで、取る札が決まります。
競技かるたでは、同じ音ではじまる札が何枚あるかで分類します。この歌は「五枚札」〈み〉の仲間です。
現代語訳
宮中の御垣を守る衛士のたく火は、夜は赤々と燃え、昼になれば消えています。わたしの恋も、ちょうどそのよう——夜は想いが燃えあがり、昼は消え入るように、ただ物思いに沈むばかりです。夜ごと、昼ごと、繰り返し燃えては消える心の火を、かがり火に重ねた恋の歌です。
歌人の物語
伊勢神宮に仕える家に生まれた、平安中期の歌人と伝わります。勅撰集の編纂にも携わったといい、言葉を選び抜くその目が、かがり火ひとつに恋を映すこの一首にも、静かに息づいています。
この歌とは、道のりの「五枚札」のあたりで出会います。
うたふだをはじめる
一首ずつ歌と出会いながら、決まり字を手がかりに札を取る力を、短いお稽古で育てていきます。