み吉野のみよしのの 山の秋風やまのあきかぜ さ夜ふけてさよふけてふるさと寒くふるさとさむく 衣うつなりころもうつなり参議雅経さんぎまさつね

「み吉野の 山の秋風 さ夜ふけて」の情景画

読みを聞いてみましょう。上の句のあとに、下の句が続きます。

決まり字

みよ

決まり字は、その一首だと聞き分けられるようになる、上の句のはじめの何文字かのことです。この歌なら、読み手が「みよ」と読んだところで、取る札が決まります。

競技かるたでは、同じ音ではじまる札が何枚あるかで分類します。この歌は「五枚札」〈み〉の仲間です。

現代語訳

吉野の山から、秋風が吹きおろしてきます。夜はふけて、古い里はいっそう寒く——そのしずけさのなかに、遠く、衣を打つ砧の音が聞こえてきます。冷えた夜気に響くその音が、秋のさびしさを、いっそう深くしみこませます。目ではなく、耳で聞く秋の夜のうたです。

歌人の物語

『新古今和歌集』の撰者のひとりをつとめた、鎌倉初期の歌人と伝わります。蹴鞠の名手としても知られた人で、古い歌の面影をふまえて夜寒の吉野を詠むところに、伝統に耳を澄ますまなざしがにじみます。

この歌とは、道のりの「五枚札」のあたりで出会います。

うたふだをはじめる

一首ずつ歌と出会いながら、決まり字を手がかりに札を取る力を、短いお稽古で育てていきます。

同じ「五枚札」の歌