高砂の をのへのさくら さきにけりとやまのかすみ たたずもあらなむ

読みを聞いてみましょう。上の句のあとに、下の句が続きます。
決まり字
たか
決まり字は、その一首だと聞き分けられるようになる、上の句のはじめの何文字かのことです。この歌なら、読み手が「たか」と読んだところで、取る札が決まります。
競技かるたでは、同じ音ではじまる札が何枚あるかで分類します。この歌は「六枚札」〈たこ〉の仲間です。
現代語訳
はるか遠く、高い山の峰に、桜が咲いたのが見えます。里に近い山の霞よ、どうか立たないでおくれ。あの花が、隠れて見えなくなってしまわないように。遠く咲いた花を、ここからいつまでも眺めていたい——春のひとときを惜しむ、季節のうたです。
歌人の物語
幼いころから学問の誉れ高く、神童とうたわれたと伝わる学者です。遠くの桜をそっと見守るまなざしに、広く世を見わたしてきた人の静けさが、そのまま重なります。
この歌とは、道のりの「六枚札」のあたりで出会います。
うたふだをはじめる
一首ずつ歌と出会いながら、決まり字を手がかりに札を取る力を、短いお稽古で育てていきます。