誰をかもたれをかも しる人にせむしるひとにせむ 高砂のたかさごの松も昔のまつもむかしの 友ならなくにともならなくに藤原興風ふじわらのおきかぜ

「誰をかも しる人にせむ 高砂の」の情景画

読みを聞いてみましょう。上の句のあとに、下の句が続きます。

決まり字

たれ

決まり字は、その一首だと聞き分けられるようになる、上の句のはじめの何文字かのことです。この歌なら、読み手が「たれ」と読んだところで、取る札が決まります。

競技かるたでは、同じ音ではじまる札が何枚あるかで分類します。この歌は「六枚札」〈たこ〉の仲間です。

現代語訳

長く生きて、親しかった友は、みな先立ってしまいました。これからいったい誰を、心を知る友とすればよいのでしょう。長寿で名高い高砂の松よ——おまえもずいぶん昔からそこにいるけれど、わたしの昔を知る友では、ないのだから。老いてひとり残されたさびしさを、しずかに見つめるうたです。

歌人の物語

三十六歌仙のひとりに数えられ、琴など管弦の道にもすぐれた平安前期の歌人と伝わります。友をみな見送ったあとのしずけさが、その調べに、そっとにじみます。

この歌とは、道のりの「六枚札」のあたりで出会います。

うたふだをはじめる

一首ずつ歌と出会いながら、決まり字を手がかりに札を取る力を、短いお稽古で育てていきます。

同じ「六枚札」の歌