これやこの 行くも帰るも わかれてはしるもしらぬも 逢坂の関

読みを聞いてみましょう。上の句のあとに、下の句が続きます。
決まり字
これ
決まり字は、その一首だと聞き分けられるようになる、上の句のはじめの何文字かのことです。この歌なら、読み手が「これ」と読んだところで、取る札が決まります。
競技かるたでは、同じ音ではじまる札が何枚あるかで分類します。この歌は「六枚札」〈たこ〉の仲間です。
現代語訳
これがあの、名高い逢坂の関なのですね。都を出てゆく人も帰ってくる人も、知っている人も知らない人も——ここで別れては、また逢う。行き交うすべての人が、いつかこの関ですれ違う——人の出会いと別れを、ひとつの関所に映した一首です。
歌人の物語
逢坂の関のほとりに庵を結んで暮らした、琵琶の名手と伝わります。関を行き交う人々の気配を聞きつづけた日々が、この歌のまなざしに、そっと重なります。
この歌とは、道のりの「六枚札」のあたりで出会います。
うたふだをはじめる
一首ずつ歌と出会いながら、決まり字を手がかりに札を取る力を、短いお稽古で育てていきます。