田子の浦に うちいでてみれば 白妙の富士の高嶺に 雪は降りつつ

読みを聞いてみましょう。上の句のあとに、下の句が続きます。
決まり字
たご
決まり字は、その一首だと聞き分けられるようになる、上の句のはじめの何文字かのことです。この歌なら、読み手が「たご」と読んだところで、取る札が決まります。
競技かるたでは、同じ音ではじまる札が何枚あるかで分類します。この歌は「六枚札」〈たこ〉の仲間です。
現代語訳
田子の浦の海べに出て、ふと見上げると——真っ白に、富士の高嶺に雪が降りつづけています。ひらけた海と、白くかがやく高嶺。まぶしいほどの大きな景色が、一息に立ち上がります。目にした驚きを、そのまま差し出すような、清らかな冬の一首です。
歌人の物語
奈良の時代の宮廷歌人で、のちに柿本人麻呂とならび称えられたと伝わります。飾らない言葉で大きな景色を写しとる——その澄んだまなざしが、この一首にも息づいています。
この歌とは、道のりの「六枚札」のあたりで出会います。
うたふだをはじめる
一首ずつ歌と出会いながら、決まり字を手がかりに札を取る力を、短いお稽古で育てていきます。