大江山おほえやま いく野の道のいくののみちの 遠ければとほければまだふみもみずまだふみもみず 天の橋立あまのはしだて小式部内侍こしきぶのないし

「大江山 いく野の道の 遠ければ」の情景画

読みを聞いてみましょう。上の句のあとに、下の句が続きます。

決まり字

おほえ

決まり字は、その一首だと聞き分けられるようになる、上の句のはじめの何文字かのことです。この歌なら、読み手が「おほえ」と読んだところで、取る札が決まります。

競技かるたでは、同じ音ではじまる札が何枚あるかで分類します。この歌は「七枚札」〈おわ〉の仲間です。

現代語訳

大江山を越え、生野をとおってゆく丹後への道は、あまりに遠い。母のいる天の橋立の地は、まだ踏んだこともなければ、文も見ていません。「行く」と「生野」、「踏み」と「文」——からかいの言葉に、その場でふたつの掛詞を織り込んで返した、若い才気のきらめく一首です。

歌人の物語

母は名高い歌人・和泉式部です。歌合を前に「母上への使いは戻りましたか」と代作をからかわれ、去ろうとする相手の袖をとらえて、この歌を即座に詠み返したと伝わります。

この歌とは、道のりの「七枚札」のあたりで出会います。

うたふだをはじめる

一首ずつ歌と出会いながら、決まり字を手がかりに札を取る力を、短いお稽古で育てていきます。

同じ「七枚札」の歌