わが庵は 都のたつみ しかぞすむ世をうぢ山と 人はいふなり

読みを聞いてみましょう。上の句のあとに、下の句が続きます。
決まり字
わがい
決まり字は、その一首だと聞き分けられるようになる、上の句のはじめの何文字かのことです。この歌なら、読み手が「わがい」と読んだところで、取る札が決まります。
競技かるたでは、同じ音ではじまる札が何枚あるかで分類します。この歌は「七枚札」〈おわ〉の仲間です。
現代語訳
わたしの庵は、都の東南、宇治の山のなか。ごらんのとおり、こうして心しずかに暮らしています。それなのに世間の人は、「うぢ山」の名に「憂し」を重ねて、世をはかなんで逃れ住んでいるのだろうと言うのですね。人の噂をさらりと受け流す、飄々とした山住まいの一首です。
歌人の物語
宇治の山に住んだ僧と伝わります。六歌仙のひとりに数えられながら、確かな歌はこの一首だけとも言われ、その姿は霧の向こうにあります。
この歌とは、道のりの「七枚札」のあたりで出会います。
うたふだをはじめる
一首ずつ歌と出会いながら、決まり字を手がかりに札を取る力を、短いお稽古で育てていきます。