奥山におくやまに もみぢふみわけもみぢふみわけ なく鹿のなくしかの声聞く時ぞこゑきくときぞ 秋はかなしきあきはかなしき猿丸太夫さるまるだゆう

「奥山に もみぢふみわけ なく鹿の」の情景画

読みを聞いてみましょう。上の句のあとに、下の句が続きます。

決まり字

おく

決まり字は、その一首だと聞き分けられるようになる、上の句のはじめの何文字かのことです。この歌なら、読み手が「おく」と読んだところで、取る札が決まります。

競技かるたでは、同じ音ではじまる札が何枚あるかで分類します。この歌は「七枚札」〈おわ〉の仲間です。

現代語訳

人里はなれた奥深い山で、散り敷いた紅葉を踏み分けながら、鹿が鳴いています。しんとした山にひびく、そのひと声を聞くとき——秋とは、こんなにもかなしいものなのですね。目に映る紅葉と、耳にとどく声。深まる秋が音とともに胸にしみる一首です。

歌人の物語

その正体は、じつはよく分かっていない、謎めいた歌人です。三十六歌仙に数えられながら名前だけが伝説のように残り、遠い山の奥から、この一首の声だけが届いてきます。

この歌とは、道のりの「七枚札」のあたりで出会います。

うたふだをはじめる

一首ずつ歌と出会いながら、決まり字を手がかりに札を取る力を、短いお稽古で育てていきます。

同じ「七枚札」の歌