山里は 冬ぞさびしさ まさりける人目も草も かれぬと思へば

読みを聞いてみましょう。上の句のあとに、下の句が続きます。
決まり字
やまざ
決まり字は、その一首だと聞き分けられるようになる、上の句のはじめの何文字かのことです。この歌なら、読み手が「やまざ」と読んだところで、取る札が決まります。
競技かるたでは、同じ音ではじまる札が何枚あるかで分類します。この歌は「四枚札」〈はやよか〉の仲間です。
現代語訳
山里の暮らしは、冬になると、さびしさがいっそうまさります。人の訪れは途絶えて、草もすっかり枯れてしまう。「かれる」のは、人も、草も——ふたつの「かれぬ」をひとつの言葉に重ねて、冬ざれの静けさが、いっそう深くなります。雪より先に、さびしさが積もる冬のうたです。
歌人の物語
皇族に生まれながら、臣下にくだった平安前期の歌人で、三十六歌仙のひとりに数えられます。世に思うようには恵まれなかったと伝わり、冬の山里のさびしさが、その境遇にも静かに重なります。
この歌とは、道のりの「四枚札」のあたりで出会います。
うたふだをはじめる
一首ずつ歌と出会いながら、決まり字を手がかりに札を取る力を、短いお稽古で育てていきます。