世の中はよのなかは つねにもがもなつねにもがもな なぎさこぐなぎさこぐあまの小舟のあまのをぶねの 綱手かなしもつなでかなしも鎌倉右大臣かまくらのうだいじん

「世の中は つねにもがもな なぎさこぐ」の情景画

読みを聞いてみましょう。上の句のあとに、下の句が続きます。

決まり字

よのなかは

決まり字は、その一首だと聞き分けられるようになる、上の句のはじめの何文字かのことです。この歌なら、読み手が「よのなかは」と読んだところで、取る札が決まります。

競技かるたでは、同じ音ではじまる札が何枚あるかで分類します。この歌は「四枚札」〈はやよか〉の仲間です。

現代語訳

世の中は、いつまでもこのまま、変わらずにあってほしい。渚を漕いでゆく漁師の小舟が、岸から綱で引かれてゆく——その何気ない眺めが、しみじみと、いとおしく胸にしみます。変わらないでと願うのは、変わってゆくことを知っている人。ありふれた渚の景色に寄せた、静かな祈りのうたです。

歌人の物語

鎌倉幕府の三代将軍でありながら、都の歌の道に深く心を寄せた人です。その生涯は若くして閉ざされたと伝わり、変わらないでほしいというこの願いが、静かに重なります。

この歌とは、道のりの「四枚札」のあたりで出会います。

うたふだをはじめる

一首ずつ歌と出会いながら、決まり字を手がかりに札を取る力を、短いお稽古で育てていきます。

同じ「四枚札」の歌