山川に 風のかけたる しがらみはながれもあへぬ もみぢなりけり

読みを聞いてみましょう。上の句のあとに、下の句が続きます。
決まり字
やまが
決まり字は、その一首だと聞き分けられるようになる、上の句のはじめの何文字かのことです。この歌なら、読み手が「やまが」と読んだところで、取る札が決まります。
競技かるたでは、同じ音ではじまる札が何枚あるかで分類します。この歌は「四枚札」〈はやよか〉の仲間です。
現代語訳
山あいの川に、流れをせき止める「しがらみ」——柵がかかっています。誰のしわざかと近づいてみれば、それは、流れきれずに寄り集まった紅葉でした。風が吹き寄せた紅葉が、いつのまにか川に柵をかけていたのですね。ふとした発見のよろこびがきらりと光る、秋の一首です。
歌人の物語
平安前期の歌人と伝わります。この歌は、都から近江へ抜ける山越えの道で詠まれたと伝わり、旅の途中でふと目にとめた景色に、機知のきいた見立てをそっと重ねています。
この歌とは、道のりの「四枚札」のあたりで出会います。
うたふだをはじめる
一首ずつ歌と出会いながら、決まり字を手がかりに札を取る力を、短いお稽古で育てていきます。