君がためきみがため 春の野に出でてはるののにいでて 若菜つむわかなつむわが衣手にわがころもでに 雪はふりつつゆきはふりつつ光孝天皇こうこうてんのう

「君がため 春の野に出でて 若菜つむ」の情景画

読みを聞いてみましょう。上の句のあとに、下の句が続きます。

決まり字

きみがためは

決まり字は、その一首だと聞き分けられるようになる、上の句のはじめの何文字かのことです。この歌なら、読み手が「きみがためは」と読んだところで、取る札が決まります。

競技かるたでは、同じ音ではじまる札が何枚あるかで分類します。この歌は「三枚札」〈いちひき〉の仲間です。

現代語訳

あなたに差しあげるために、早春の野に出て、若菜を摘んでいます。わたしの衣の袖には、春だというのに、雪がしきりに降りかかってきます。冷たい雪のなかでも、摘む手は止まりません。だれかを思う気持ちがまっすぐに伝わる、贈りもののうたです。

歌人の物語

位につく前の、親王のころに詠んだ歌と伝わります。若菜に添えられたこの一首のこまやかさが、のちに帝となった人の、あたたかな人柄をしのばせます。

この歌とは、道のりの「三枚札」のあたりで出会います。

うたふだをはじめる

一首ずつ歌と出会いながら、決まり字を手がかりに札を取る力を、短いお稽古で育てていきます。

同じ「三枚札」の歌