ちはやぶる 神代もきかず 竜田川からくれなゐに 水くくるとは

読みを聞いてみましょう。上の句のあとに、下の句が続きます。
決まり字
ちは
決まり字は、その一首だと聞き分けられるようになる、上の句のはじめの何文字かのことです。この歌なら、読み手が「ちは」と読んだところで、取る札が決まります。
競技かるたでは、同じ音ではじまる札が何枚あるかで分類します。この歌は「三枚札」〈いちひき〉の仲間です。
現代語訳
不思議なことが多かったという、遠い神々の代にも、こんなことは聞いたことがありません。竜田川の水一面に紅葉が散り敷いて、川が、鮮やかな唐紅の絞り染めになってしまうなんて。目の前の秋を、神代の昔よりも見事だと言いきる——大胆でつややかな、紅葉の一首です。
歌人の物語
平安のはじめを生きた、名うての貴公子です。『伊勢物語』の主人公とも重ねられ、この歌は屏風に描かれた竜田川の紅葉を見て詠んだと伝わります。
この歌とは、道のりの「三枚札」のあたりで出会います。
うたふだをはじめる
一首ずつ歌と出会いながら、決まり字を手がかりに札を取る力を、短いお稽古で育てていきます。