人もをし 人もうらめし あぢきなく世を思ふゆゑに 物思ふ身は

読みを聞いてみましょう。上の句のあとに、下の句が続きます。
決まり字
ひとも
決まり字は、その一首だと聞き分けられるようになる、上の句のはじめの何文字かのことです。この歌なら、読み手が「ひとも」と読んだところで、取る札が決まります。
競技かるたでは、同じ音ではじまる札が何枚あるかで分類します。この歌は「三枚札」〈いちひき〉の仲間です。
現代語訳
人がいとおしくも思われ、また、恨めしくも思われます。ままならない世の中だと嘆きながら、それでも、この世のことを思わずにはいられない——そんな物思いに沈む、この身には。愛しさと恨めしさが同じ胸に同居する、人の心の深いところに触れた一首です。
歌人の物語
歌の道に深く心を寄せ、勅撰集の編纂を自ら導いた上皇です。のちに争いに敗れて遠い隠岐へ移されたと伝わり、世を思うこの物思いが、その生涯に静かに重なります。
この歌とは、道のりの「三枚札」のあたりで出会います。
うたふだをはじめる
一首ずつ歌と出会いながら、決まり字を手がかりに札を取る力を、短いお稽古で育てていきます。