秋風に たなびく雲の たえ間よりもれいづる月の 影のさやけさ

読みを聞いてみましょう。上の句のあとに、下の句が続きます。
決まり字
あきか
決まり字は、その一首だと聞き分けられるようになる、上の句のはじめの何文字かのことです。この歌なら、読み手が「あきか」と読んだところで、取る札が決まります。
競技かるたでは、同じ音ではじまる札が何枚あるかで分類します。この歌は「十六枚札」〈あ〉の仲間です。
現代語訳
秋風が、空にたなびく雲を、ゆっくりと吹き流してゆきます。その切れ間から、もれ出てくる月の光——なんと澄みきって、あかるいことでしょう。雲に磨かれたかのような、そのさやけさを、ただ仰いでいる。秋の夜空の清らかなきらめきをうたった一首です。
歌人の物語
平安後期に歌の家を率いた人で、勅撰集の撰者もつとめたと伝わります。飾らない言葉でまっすぐに景色を写すその詠みぶりが、この月の澄みかたに、そのまま重なります。
この歌とは、道のりの「十六枚札」のあたりで出会います。
うたふだをはじめる
一首ずつ歌と出会いながら、決まり字を手がかりに札を取る力を、短いお稽古で育てていきます。