朝ぼらけ 有明の月と 見るまでに吉野の里に 降れる白雪

読みを聞いてみましょう。上の句のあとに、下の句が続きます。
決まり字
あさぼらけあ
決まり字は、その一首だと聞き分けられるようになる、上の句のはじめの何文字かのことです。この歌なら、読み手が「あさぼらけあ」と読んだところで、取る札が決まります。
競技かるたでは、同じ音ではじまる札が何枚あるかで分類します。この歌は「十六枚札」〈あ〉の仲間です。
現代語訳
夜がほのぼのと明けるころ。あたりがふっと白んで、有明の月が照っているのかと思うほどです。けれど見れば、それは吉野の里に降り積もった、白雪の明るさでした。月の光と見まがう雪あかり——冬の朝の、清らかなおどろきの一首です。
歌人の物語
三十六歌仙のひとりに数えられる、平安前期の歌人です。大和へ下った折に吉野へ泊まって詠んだと伝わり、蹴鞠の名手だったという逸話も残ります。
この歌とは、道のりの「十六枚札」のあたりで出会います。
うたふだをはじめる
一首ずつ歌と出会いながら、決まり字を手がかりに札を取る力を、短いお稽古で育てていきます。