あらし吹くあらしふく み室の山のみむろのやまの もみぢばはもみぢばは竜田の川のたつたのかはの 錦なりけりにしきなりけり能因法師のういんほうし

「あらし吹く み室の山の もみぢばは」の情景画

読みを聞いてみましょう。上の句のあとに、下の句が続きます。

決まり字

あらし

決まり字は、その一首だと聞き分けられるようになる、上の句のはじめの何文字かのことです。この歌なら、読み手が「あらし」と読んだところで、取る札が決まります。

競技かるたでは、同じ音ではじまる札が何枚あるかで分類します。この歌は「十六枚札」〈あ〉の仲間です。

現代語訳

山から吹きおろす嵐が、三室の山の紅葉を、つぎつぎと散らしていきます。散った葉はふもとの竜田川に浮かんで、川面はいちめん——まるで織りあげた錦のようです。散ることは、終わりではありませんでした。嵐と紅葉と川が、ひとつの錦を織りあげる、あざやかな秋の一首です。

歌人の物語

歌枕の地をたずねて、各地を旅した平安中期の僧と伝わります。名所の景色をこよなく愛した人で、紅葉の名所を詠んだこの一首にも、その旅心がにじみます。

この歌とは、道のりの「十六枚札」のあたりで出会います。

うたふだをはじめる

一首ずつ歌と出会いながら、決まり字を手がかりに札を取る力を、短いお稽古で育てていきます。

同じ「十六枚札」の歌