あけぬれば 暮るるものとは 知りながらなほうらめしき 朝ぼらけかな

読みを聞いてみましょう。上の句のあとに、下の句が続きます。
決まり字
あけ
決まり字は、その一首だと聞き分けられるようになる、上の句のはじめの何文字かのことです。この歌なら、読み手が「あけ」と読んだところで、取る札が決まります。
競技かるたでは、同じ音ではじまる札が何枚あるかで分類します。この歌は「十六枚札」〈あ〉の仲間です。
現代語訳
夜が明ければ、やがて日は暮れて、また逢える夜が来る。そんなことは、よく分かっているのです。それでも——あなたと別れなければならないこの朝ぼらけが、やっぱり恨めしくてなりません。理屈ではどうにもならない名残惜しさを、白みゆく空にそのまま置いた恋の歌です。
歌人の物語
平安中期の貴公子で、歌の才を惜しまれながら、ごく若くして世を去ったと伝わります。逢瀬の翌朝に贈るならいの歌に、率直な恋しさをまっすぐ残しました。
この歌とは、道のりの「十六枚札」のあたりで出会います。
うたふだをはじめる
一首ずつ歌と出会いながら、決まり字を手がかりに札を取る力を、短いお稽古で育てていきます。