天の原 ふりさけみれば 春日なる三笠の山に いでし月かも

読みを聞いてみましょう。上の句のあとに、下の句が続きます。
決まり字
あまの
決まり字は、その一首だと聞き分けられるようになる、上の句のはじめの何文字かのことです。この歌なら、読み手が「あまの」と読んだところで、取る札が決まります。
競技かるたでは、同じ音ではじまる札が何枚あるかで分類します。この歌は「十六枚札」〈あ〉の仲間です。
現代語訳
大きくひろがる夜空を、ふりあおぐと、月がのぼっています。ああ、あの月は——遠い故郷、春日の三笠の山にのぼっていた、あの月とおなじなのですね。異国の空の下で見上げた月に、帰れないふるさとの景色が、ふいに重なります。遠く離れた地から故郷を思う、望郷のうたです。
歌人の物語
若くして海を渡り、唐の国で学んで、その朝廷にも仕えた人です。帰国の船は嵐にあい、ついに故郷の土を踏むことはかなわなかったと伝わります。
この歌とは、道のりの「十六枚札」のあたりで出会います。
うたふだをはじめる
一首ずつ歌と出会いながら、決まり字を手がかりに札を取る力を、短いお稽古で育てていきます。