淡路島あはぢしま かよふ千鳥のかよふちどりの 鳴く声になくこゑに幾夜ねざめぬいくよねざめぬ 須磨の関守すまのせきもり源兼昌みなもとのかねまさ

「淡路島 かよふ千鳥の 鳴く声に」の情景画

読みを聞いてみましょう。上の句のあとに、下の句が続きます。

決まり字

あはぢ

決まり字は、その一首だと聞き分けられるようになる、上の句のはじめの何文字かのことです。この歌なら、読み手が「あはぢ」と読んだところで、取る札が決まります。

競技かるたでは、同じ音ではじまる札が何枚あるかで分類します。この歌は「十六枚札」〈あ〉の仲間です。

現代語訳

冬の夜、淡路島から通ってくる千鳥が、寂しげな声で鳴きわたります。その声に、須磨の関を守る番人は、いったい幾夜、眠りを破られたことでしょう。海をわたる鳥の声と、ひとり目を覚ます人の気配。冬の海辺の、しんとしたさびしさのうたです。

歌人の物語

平安後期の歌人で、くわしい経歴はあまり伝わっていません。それでも、千鳥の声にひとり目覚める関守を思いやるまなざしが、この一首を千年のちまで残しました。

この歌とは、道のりの「十六枚札」のあたりで出会います。

うたふだをはじめる

一首ずつ歌と出会いながら、決まり字を手がかりに札を取る力を、短いお稽古で育てていきます。

同じ「十六枚札」の歌