朝ぼらけ 宇治の川霧 絶え絶えにあらはれわたる 瀬々の網代木

読みを聞いてみましょう。上の句のあとに、下の句が続きます。
決まり字
あさぼらけう
決まり字は、その一首だと聞き分けられるようになる、上の句のはじめの何文字かのことです。この歌なら、読み手が「あさぼらけう」と読んだところで、取る札が決まります。
競技かるたでは、同じ音ではじまる札が何枚あるかで分類します。この歌は「十六枚札」〈あ〉の仲間です。
現代語訳
夜がほのかに明けるころ、宇治川には川霧が立ちこめています。その霧がとぎれとぎれに晴れて、切れ間から、浅瀬に打たれた網代木が次々と姿をあらわしてくる。霧のむこうで、景色がすこしずつ目を覚ましてゆくようです。明けがたの川辺の、しずかな冬の一首です。
歌人の物語
名高い歌人を父に持つ、平安中期の公卿と伝わります。機知に富んだ人柄の逸話も残る人ですが、この一首では言葉の技を誇らず、ただ明けてゆく川の景色に、静かに目を澄ませています。
この歌とは、道のりの「十六枚札」のあたりで出会います。
うたふだをはじめる
一首ずつ歌と出会いながら、決まり字を手がかりに札を取る力を、短いお稽古で育てていきます。