浅茅生のあさぢふの 小野の篠原をののしのはら しのぶれどしのぶれどあまりてなどかあまりてなどか 人の恋しきひとのこひしき参議等さんぎひとし

「浅茅生の 小野の篠原 しのぶれど」の情景画

読みを聞いてみましょう。上の句のあとに、下の句が続きます。

決まり字

あさぢ

決まり字は、その一首だと聞き分けられるようになる、上の句のはじめの何文字かのことです。この歌なら、読み手が「あさぢ」と読んだところで、取る札が決まります。

競技かるたでは、同じ音ではじまる札が何枚あるかで分類します。この歌は「十六枚札」〈あ〉の仲間です。

現代語訳

浅茅がまばらに生える小野の、篠原。その「しの」の音のように、ずっと人目を忍んできました。けれど想いは胸にあまって、こぼれ出してしまう——どうしてこんなにも、あなたが恋しいのでしょう。抑えれば抑えるほど募ってゆく、忍ぶ恋の歌です。

歌人の物語

嵯峨天皇の血を引く、平安前期の公卿と伝わります。残された歌は多くないなかで、胸にあまる想いを詠んだこの一首が、千年をこえていまに届いています。

この歌とは、道のりの「十六枚札」のあたりで出会います。

うたふだをはじめる

一首ずつ歌と出会いながら、決まり字を手がかりに札を取る力を、短いお稽古で育てていきます。

同じ「十六枚札」の歌