有明のありあけの つれなく見えしつれなくみえし 別れよりわかれよりあかつきばかりあかつきばかり うきものはなしうきものはなし壬生忠岑みぶのただみね

「有明の つれなく見えし 別れより」の情景画

読みを聞いてみましょう。上の句のあとに、下の句が続きます。

決まり字

ありあ

決まり字は、その一首だと聞き分けられるようになる、上の句のはじめの何文字かのことです。この歌なら、読み手が「ありあ」と読んだところで、取る札が決まります。

競技かるたでは、同じ音ではじまる札が何枚あるかで分類します。この歌は「十六枚札」〈あ〉の仲間です。

現代語訳

白みはじめた空に、有明の月が残っています。あの別れの朝、その月はどこかつれなく見えました——そっけないあの人の心のように。あれからというもの、夜明け前の暗いひとときほど、つらいものはありません。ひとりで迎える暁のたびに、あの朝の別れがよみがえる——ほろにがい恋の歌です。

歌人の物語

『古今和歌集』の撰者のひとりに数えられる、平安前期の歌人です。恋の切なさをすくいとる技に優れ、この一首も後世の歌人に長く愛唱されたと伝わります。

この歌とは、道のりの「十六枚札」のあたりで出会います。

うたふだをはじめる

一首ずつ歌と出会いながら、決まり字を手がかりに札を取る力を、短いお稽古で育てていきます。

同じ「十六枚札」の歌