由良のとをゆらのとを 渡る舟人わたるふなびと かぢをたえかぢをたえゆくへも知らぬゆくへもしらぬ 恋の道かなこひのみちかな曽禰好忠そねのよしただ

「由良のとを 渡る舟人 かぢをたえ」の情景画

読みを聞いてみましょう。上の句のあとに、下の句が続きます。

決まり字

ゆら

決まり字は、その一首だと聞き分けられるようになる、上の句のはじめの何文字かのことです。この歌なら、読み手が「ゆら」と読んだところで、取る札が決まります。

競技かるたでは、同じ音ではじまる札が何枚あるかで分類します。この歌は「二枚札」〈うつしもゆ〉の仲間です。

現代語訳

由良の瀬戸を渡ってゆく舟人が、櫂をなくしてしまって、行く先も分からぬまま、波間に漂っている。わたしの恋も、ちょうどそのように——これから先、どこへ向かうのかも見えないまま、ただ心もとなく揺れています。先の見えない恋の不安を、海の上の小舟に重ねたうたです。

歌人の物語

平安中期の歌人で、清新で独自な歌風の持ち主と伝わります。よるべなく漂う舟に恋を託すたとえに、型にとらわれない、この人らしい詠みぶりがうかがえます。

この歌とは、道のりの「二枚札」のあたりで出会います。

うたふだをはじめる

一首ずつ歌と出会いながら、決まり字を手がかりに札を取る力を、短いお稽古で育てていきます。

同じ「二枚札」の歌