ももしきや ふるき軒ばの しのぶにもなほあまりある 昔なりけり

読みを聞いてみましょう。上の句のあとに、下の句が続きます。
決まり字
もも
決まり字は、その一首だと聞き分けられるようになる、上の句のはじめの何文字かのことです。この歌なら、読み手が「もも」と読んだところで、取る札が決まります。
競技かるたでは、同じ音ではじまる札が何枚あるかで分類します。この歌は「二枚札」〈うつしもゆ〉の仲間です。
現代語訳
宮中の、古びた軒端に生い茂る忍ぶ草。それを見ていると、いくら偲んでも、なお偲びつくせない——かつて栄えた、あのよき昔のことが、しきりに思い出されます。移りゆくもの、衰えてゆくものへの、深いなつかしみ。時のうつろいを見つめる、しずかな懐旧のうたです。
歌人の物語
のちに遠い島へ移された天皇と伝わり、歌の道にも心を尽くした人です。栄えた昔を偲ぶこの一首に、やがて訪れる世のうつろいが、静かに重なります。
この歌とは、道のりの「二枚札」のあたりで出会います。
うたふだをはじめる
一首ずつ歌と出会いながら、決まり字を手がかりに札を取る力を、短いお稽古で育てていきます。