月みればつきみれば ちぢにものこそちぢにものこそ かなしけれかなしけれわが身一つのわがみひとつの 秋にはあらねどあきにはあらねど大江千里おおえのちさと

「月みれば ちぢにものこそ かなしけれ」の情景画

読みを聞いてみましょう。上の句のあとに、下の句が続きます。

決まり字

つき

決まり字は、その一首だと聞き分けられるようになる、上の句のはじめの何文字かのことです。この歌なら、読み手が「つき」と読んだところで、取る札が決まります。

競技かるたでは、同じ音ではじまる札が何枚あるかで分類します。この歌は「二枚札」〈うつしもゆ〉の仲間です。

現代語訳

月をながめていると、あとからあとから、さまざまな物思いがあふれてきて、しみじみと悲しくなります。この秋が、わたしひとりのために来たのではないことは、よく分かっているのに。それでも、胸に迫ってくる——秋の月あかりのしたの、しずかなかなしみのうたです。

歌人の物語

漢詩に学びの深い、平安前期の歌人と伝わります。中国の詩の一節を、やわらかな和歌の調べに詠みなおしたと言われ、その学びの香りが、月あかりのように淡くにじみます。

この歌とは、道のりの「二枚札」のあたりで出会います。

うたふだをはじめる

一首ずつ歌と出会いながら、決まり字を手がかりに札を取る力を、短いお稽古で育てていきます。

同じ「二枚札」の歌