つくばねのつくばねの 峰よりおつるみねよりおつる みなの川みなのがは恋ぞつもりてこひぞつもりて 淵となりぬるふちとなりぬる陽成院ようぜいいん

「つくばねの 峰よりおつる みなの川」の情景画

読みを聞いてみましょう。上の句のあとに、下の句が続きます。

決まり字

つく

決まり字は、その一首だと聞き分けられるようになる、上の句のはじめの何文字かのことです。この歌なら、読み手が「つく」と読んだところで、取る札が決まります。

競技かるたでは、同じ音ではじまる札が何枚あるかで分類します。この歌は「二枚札」〈うつしもゆ〉の仲間です。

現代語訳

筑波山の峰から落ちる細い流れが、集まり集まって、やがて深い淵となるように。わたしの恋も、はじめは小さな想いだったのに、積もりつもって——気づけば、身の底に、深い淵をたたえるほどになっていました。時をかけて深まってゆく想いを、山あいの水の流れに重ねた一首です。

歌人の物語

位を退いたのちの天皇と伝わります。ひとしずくの水から淵までを一息に描くまなざしに、大きな景色を見わたす人の心持ちが、静かに重なります。

この歌とは、道のりの「二枚札」のあたりで出会います。

うたふだをはじめる

一首ずつ歌と出会いながら、決まり字を手がかりに札を取る力を、短いお稽古で育てていきます。

同じ「二枚札」の歌