長からむ 心もしらず 黒髪のみだれてけさは 物をこそ思へ

読みを聞いてみましょう。上の句のあとに、下の句が続きます。
決まり字
ながか
決まり字は、その一首だと聞き分けられるようになる、上の句のはじめの何文字かのことです。この歌なら、読み手が「ながか」と読んだところで、取る札が決まります。
競技かるたでは、同じ音ではじまる札が何枚あるかで分類します。この歌は「八枚札」〈な〉の仲間です。
現代語訳
あなたの心が、末長く変わらずにいてくれるものかどうか。わたしには、分かりません。逢瀬の明けた今朝は、寝乱れた黒髪のように、心までもつれて——ただ、物思いに沈んでいます。よろこびのすぐ隣にある不安を、黒髪ひとすじに重ねた恋のうたです。
歌人の物語
待賢門院という后に仕えた女房で、女房三十六歌仙のひとりに数えられると伝わります。恋の題に応えて詠まれた一首と伝わり、朝の吐息のようななまなましさに、その巧みさがにじみます。
この歌とは、道のりの「八枚札」のあたりで出会います。
うたふだをはじめる
一首ずつ歌と出会いながら、決まり字を手がかりに札を取る力を、短いお稽古で育てていきます。