瀬をはやみ 岩にせかるる 滝川のわれても末に あはむとぞ思ふ

読みを聞いてみましょう。上の句のあとに、下の句が続きます。
決まり字
せ
決まり字は、その一首だと聞き分けられるようになる、上の句のはじめの何文字かのことです。この歌なら、読み手が「せ」と読んだところで、取る札が決まります。
競技かるたでは、同じ音ではじまる札が何枚あるかで分類します。この歌は「一字決まり」〈むすめふさほせ〉の仲間です。
現代語訳
川の流れが岩にぶつかって、いったん二つに分かれる。けれど水は、その先でまた一つに戻ります。今はこうして引き裂かれていても、だからこそ——いつかきっと、また逢える。せき止められた水が勢いを増すように、強く、そう願う恋の歌です。
歌人の物語
のちに政争に敗れ、遠い讃岐へ流された天皇です。引き裂かれても、というこの願いが、その生涯にも静かに重なります。
この歌とは、道のりの「一字決まり」のあたりで出会います。
うたふだをはじめる
一首ずつ歌と出会いながら、決まり字を手がかりに札を取る力を、短いお稽古で育てていきます。