ほととぎす 鳴きつる方を ながむればただありあけの 月ぞ残れる

読みを聞いてみましょう。上の句のあとに、下の句が続きます。
決まり字
ほ
決まり字は、その一首だと聞き分けられるようになる、上の句のはじめの何文字かのことです。この歌なら、読み手が「ほ」と読んだところで、取る札が決まります。
競技かるたでは、同じ音ではじまる札が何枚あるかで分類します。この歌は「一字決まり」〈むすめふさほせ〉の仲間です。
現代語訳
ほととぎすが、ひと声鳴いた。その声に誘われて、鳴いたほうへ目をやります。けれど、もうその姿はどこにもなく——白みはじめた空に、ただ有明の月だけが、淡く残っています。声は消えて、夏の暁のしずけさばかりが、あとに広がります。
歌人の物語
平安の世の終わりごろを生きた、歌にも音楽にも長けた公卿です。消えた声のゆくえを追うまなざしに、その人の繊細さが、静かににじみます。
この歌とは、道のりの「一字決まり」のあたりで出会います。
うたふだをはじめる
一首ずつ歌と出会いながら、決まり字を手がかりに札を取る力を、短いお稽古で育てていきます。